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スリー・グッド・シングス

 

日本経済新聞  朝刊  こころの健康学 2020R4年2月9日

 『心と体』

 こころもからだも元気でいたいものですね、

 

 疲れた体を労わるように、疲れたこころの労わりを忘れがちな私です!

『こころ』にいつも有難うと云いたいです。こころに感謝です。

 

イラスト・大塚いちお
スリー・グッド・シングス イラスト・大塚いちお

 ある会合で、夜寝る前に子どもと一緒にスリー・グッド・シングスを実践しているという女性に会った。おそらく就学前か小学校低学年の子どもだろう。子どもを寝かせつけるときに、その日に起きた良かったことや楽しかったことを話してもらっているのだという。

 スリー・グッド・シングスについては、以前に本欄でも紹介したが、その日に起きた良かったことを3つ思い出して書き出すことでこころを元気にする方法だ。良かったことと言っても大げさなことでなくてもよい。日常の生活のなかで起きた、こころが少し和らぐような出来事を具体的に思い出す。

思わず笑顔が生まれた会話や、スマホの画面に突然現れた数年前の写真を見たときの懐かしい気持ち。学童期の子どもであれば、校庭の片隅に咲いている小さな花を友だちと一緒に見つけたときの喜び。窓から外を見たときに面白い形の雲が目に飛び込んできたときの驚き。ごく日常的なささいな体験を毎日夜に思い出すと、こころが元気になってくることがわかっている。そのときのこころの状態になれるからだろう。

子どもは、母親と話しながら良かった体験を思い出して心地よくなって眠りにつくことができる。自分の良い体験に耳を傾けてくれた母親に対する感謝の気持ちがわいてきて、親子関係も良くなってくる。子どもを思う母親の気持ちがあってのことだ。

こうした工夫は、夫婦でやってもよいだろう。仕事や家事に追われてないがしろになりがちな夫婦の関係がよくなってくるはずだ。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)

 厚労省によると2017年にうつなどの気分障害と診断された患者数は127万6千人。15年前の1.8倍に増えた。 物には、不自由しない世の中になりましたが、物量と引換に人と人との思いやりの関係が不自由に、この反比例の現象は、どこまでつづくのでしょうか⁉

 

うつ発症後も職場復帰
休職の繰り返し防ぐ支援プログラム 面談や自己分析/完治まで約5年

2020/4/8付 情報元 日本経済新聞 夕刊

 「会社に行こうとすると涙が止まらなくなる」「頭痛や吐き気がして出勤できない」――。日本産業カウンセラー協会が運営する厚生労働省の委託事業「こころの耳相談窓口」には連日、こんな声が電話やメールで寄せられる。協会では悩みを抱える本人やその家族、事業者などからの相談に応じている。

厚労省によると2017年にうつなどの気分障害と診断された患者数は127万6千人。15年前の1.8倍に増えた。労働政策研究・研修機構が企業を対象に実施した調査では、精神疾患を理由に休職した社員が復職後に再発した割合は53%と、身体疾患の再発(20.6%)を上回る。休職者の退職率も42.3%とがんとほぼ並ぶ水準で、支援体制の整備が課題だ。

 

 「完治するまでに5~6年はかかる。復職はスタートにすぎず、その後のフォローアップが重要だ」。精神科クリニックでうつ病患者の治療にあたってきた一般社団法人、東京リワーク研究所(東京・港)の五十嵐良雄所長はこう話す。

同研究所ではうつ症状が回復傾向に向かい始めてからのリハビリテーションを「リワークプログラム」として提供する。生活リズムを整えたり、集団生活を送ったりすることで社会復帰を支え、なぜ休職に至ったのかの自己分析などもサポートする。

受講者の多くは半年~1年程度で職場に復帰。3年後に7割程度の人が働き続けているという。

 

 「投薬治療などで症状が消え、会社に通えると判断したら『復職可』の診断書を出す医師も多い。だがその程度の回復では、結果的に再休職してしまう」。五十嵐所長はこう強調する。

近年は人手不足などで会社側の余裕もなくなり、「職場復帰時に求められる回復レベルが高くなっている」という。自己分析による徹底した原因究明とプログラムを経て復帰し、その後も精神科医との面談やフォローを何年も続けてようやく完治できるという。

「もともとうつの傾向があった人が、就職してからうつや適応障害を発症するケースも多い」。復職支援施設「リワークセンター」を展開するロディーナ(広島市)の門出兼一郎育成・研修グループマネージャーは利用者の傾向をこう分析する。30歳代が約3割と最も多いが、最近は20歳代の利用も増えているという。

東京リワーク研究所のプログラムが医療機関が関わる「医療リワーク」なのに対し、ロディーナのプログラムは「福祉リワーク」の位置づけ。施設の利用期間が最長2年間と長く、会社への復職だけでなく転職や就職以外の社会復帰も選択肢に含めている。

 

 目標や回復状況に応じた通所プログラムをつくる。週1回の面談で回復状況を確認しながら自分のペースで進める。eラーニングやスポーツジムなども自由に利用できる。料金は1日あたり約870円。所得状況等に応じて上限額を設定している。1施設あたりの受け入れ人数は20人。全国7カ所にある施設を増やしていく考えで、5月には東京・日本橋にも開設する。

リワークプログラムには企業が実施する「職場リワーク」や障害者職業センターによる「職リハリワーク」などもある。一人ひとりにあったプログラムで職場復帰につなげたい。

(佐藤初姫)