皇后さま、57歳に コロナの早期終息祈る

 上皇美智子さまに続き民間出身、心労をご察しいたしますが、知性をともなう輝きは、皇室の宝でございます。

皇后さまが取り組んだ養蚕について話す天皇、皇后両陛下(3日、赤坂御所)=宮内庁提供
皇后さまが取り組んだ養蚕について話す天皇、皇后両陛下(3日、赤坂御所)=宮内庁提供

 皇后さまは9日、57歳の誕生日を迎えられた。宮内庁を通じて文書で感想を公表し、新型コロナウイルス感染拡大について早期の終息を祈りながら「力を合わせてこの試練を乗り越えていくことができますよう、心から願っております」とつづられた。             皇后さまはコロナ禍に見舞われたこの1年を「大変に心の痛む年でした」と振り返られた。医療従事者には「本当に頭の下がる思いがいたします」と敬意を表し、「経営破綻や失業に追い込まれるなど、苦境に立たされている方が大勢いらっしゃることにも大変心が痛みます」と案じられた。                    天皇、皇后両陛下は感染拡大以降、新型コロナ問題について聞くため、多くの専門家と面会。皇后さまは対面で16回にわたり説明を受け、知見を深められた。リスクの高い高齢者や生活困窮者を案じつつ、コロナ禍での若者の新しい試みには「勇気付けられ、心温まる」と喜ばれた。 両陛下はコロナ禍で外出機会が激減したが、最近はオンラインを活用した懇談などにも取り組まれている。皇后さまはオンラインでの交流について「このように国民の皆様との触れ合いの機会を持てることは有り難く、今後ともそのような機会を大切にしていくことができれば」と前向きな姿勢を示された。                    コロナ禍については「国民の皆様の現在の困難な状況を思うとき、国民のお一人お一人が、幸せであっていただきたいかけがえのない存在であるということを身にしみて感じます」とも記し、国民へ思いを寄せる姿勢を示された。                    感想の大部分が新型コロナについての記述だったが、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に届けたカプセルの回収については「嬉(うれ)しいニュースでした」と反応。「新たな科学の扉が開かれることが期待されていると聞き、楽しみにしております」と期待を寄せられた。

 皇后さまは現在も適応障害の療養中で、治療を担う医師団は「快復の途上にあり、体調には波がある。過剰な期待は今後の快復にとってかえって逆効果」との見解を示した。皇后さまは自身の体調について「健康の一層の快復に向けて努力を続けていきたい」との抱負を示された。