空き家と向き合う(3)

 もったいないですね!

日進月歩で建築建材・資材は、安価で質の良いものが、開発されて市場にででいますので、街かどカフェなどを市区町村の行政、地域のコミニティにて有効に活用したいものですね!

物件の流動化、ファンづくり「コト消費」で促す

エンジョイワークスが神奈川県鎌倉市の空き家再生に関し開いた住民との意見交換会
エンジョイワークスが神奈川県鎌倉市の空き家再生に関し開いた住民との意見交換会
2019/10/31 情報元 日本経済新聞 電子版

 「ボランティアで終わらせないようにしないとね」。ミサワホームの今関律夫(53)は、空き家に関する相談セミナーを首都圏の各地で開きながら、こうつぶやくことがある。テーマは幅広く設定し、最終的には建て替えにつなげるのが目的だ。

 国土交通省の調べでは全国に846万戸の空き家が存在し、住宅の総数に対する比率は13.6%に上る。空き家が社会問題として注目され、関心を持つ人は増えた。企業も商機とみる。

 だがミサワのような住宅大手でも成約に至るケースが少ないのが現状だ。春までは同社の首都圏のセミナーに100~200組の来場者が訪れ、セミナー後の個別相談の利用者は1桁という寂しい日もあった。今関らは家主の要望も分析しながらテーマを絞り込み、直近は相談の参加率が1割前後になってきた。改善の兆しは見える。

思い入れのある家を手放したくない、権利者と連絡が取れない――。空き家の利活用が進まぬ理由は千差万別だ。

抵抗感を持つ家主に納得してもらうにはストーリーづくりが有効な手段だ。不動産サイト運営のLIFULL(ライフル)の石島裕昭(40)は18年、福井県鯖江市を訪れ、10LDK相当の空き家を持つ男性に「借り上げさせてください」と頭を下げた。了承を得るまで市の職員と組み10回以上も説得に訪れた。

決め手は、改装すれば企業向けの研修施設に使え、地域の活性化にもなるとの提案だった。石島は「空き家という市場性が低い物件の付加価値を高める挑戦だ」と長期戦を覚悟する。

新たに動き出したのが、個人が小口投資するクラウドファンディング(CF)だ。「再生にはコンセプトが大切です」。8月末、福岡市の貸会議室でエンジョイワークス(神奈川県鎌倉市)社長の福田和則(45)は約20人の聴衆に語りかけていた。

同社はCFを使う空き家再生を手がけ、7件の実績がある。国交省の支援を受け、福田は7~11月に10都市で再生の担い手を育成する講義を開催中だ。例えば、空き家をコワーキングスペースや宿泊施設に再生し、CFで投資したファンが利用者にもなれる。講義に参加したNPO法人職員の加藤潤(51)は「CFは画期的だと思った」と語る。

福田は空き家の再生に向け地元住民との意見交換会も開く。空き家に「コト消費」の要素を加え地域で盛り上げるしかけだ。各地で空き家の流動化を促す取り組みが広がる。(敬称略)