空き家と向き合う(2)

 観光地は、ドシドシと空き家を活用してリーヅナブルな宿泊代金としていただくと利用者は助かりますね、また、新たなリピータも増えてGoodですね!

空き家をまとめてホテルに 地域に再び活気

複数の空き家を改修した「竹田城城下町ホテルEN」は若い観光客らでにぎわう(兵庫県朝来市)
複数の空き家を改修した「竹田城城下町ホテルEN」は若い観光客らでにぎわう(兵庫県朝来市)

                       2019/10/30  日本経済新聞

 空き家の活用法が全国的な課題となるなか、兵庫県朝来市で複数戸をまとめて改修し、ホテルとするケースが出てきた。手掛けるのはスタートアップのNOTE(同県丹波篠山市)。家主、観光客それぞれから強い支持を受けている。

 「最初はよそ者に何ができるかと思ったが、ホテルが地域の顔になった」。街づくり団体代表の若林茂(64)は、予想外の街の変化に驚く。旧竹田城の城下町としてロケ地に使われ、2014年度に58万人が訪れた同市。しかしブームは急速にしぼみ、18年度は4分の1にまで減った。年々目に見える形で家主不在の家が増え、危機感が募った。それが今、再び活気づき始めている。

NOTEは18年の旅館業法改正で1棟ごとのフロント設置や最低客室数の規制が撤廃されたのを受け、複数の空き家をまとめて宿泊施設にする事業を開始した。社長の藤原岳史(45)は「1戸単位での活用には限界があるが複数の物件を集約しストーリーを持たせれば事業価値が高まると考えた」と振り返る。

住民に顔が利く若林にパイプ役を頼み、現在までに再生した空き家は6棟。各棟に個性を持たせ、ペット同伴が可能な施設も用意した。年間利用者はレストランを含め5千人を超えた。9月下旬に訪れた京都府の山下雅美(53)は、「雑誌で知り、前から一度泊まってみたかった」と声を高ぶらせた。

若林は「ホテルの成功にけん引され、若者の移住や飲食店の開業も増えてきた」と話す。「うちの家も空いてるんやけど使ってもらえるかな」。住民から空き家提供の相談も次々と寄せられるようになった。

もっとも好循環を生んでいる例は全国でもわずか。京浜急行電鉄は17年、空き家を自社負担で改修して転貸する事業を始めたが、契約に至ったのは5件のみ。賃料の1割を所有者の取り分とし、契約期間の6年が過ぎれば改修した物件が所有者に戻る仕組みだが、「賃料収入で折り合いがつかない例が多い」と、担当者の菊田知展(39)は話す。

自治体がサイトで利用者を募る空き家バンクを設けても、実績は乏しいのが現状だ。東京都荒川区では18年春に導入して以降、いまだ空き家所有者からの登録すらない。「手続きの手間や相続の関係で腰の重い所有者が目立つ。新しい手法が必要かもしれない」(施設管理課)

(敬称略)