直下型地震、人命やビルITで被害防げ 揺れ直前に予測、SNSも活用

 突然にやって来る巨大地震! 備えあれば患いなし!

それぞれに減災の準備の心がげから始めたいものですね。

あなたの家は、大丈夫ですか!?

 

 

 

左図

熊本地震で一階部分が崩落したビルと下敷きになったタクシー車両(中央のブルーシート)

                             2018/5/27

                    情報元 日本経済新聞 電子版

 直下型地震はいつどこで起きるか予測が難しいだけに、備えは怠れない。地震発生を即座に知らせて人命や重要な設備を守ったり、避難者や帰宅困難者を安全に誘導したりする対策が欠かせない。これらの解決へIT(情報技術)が注目され、導入例も広がり始めた。

 三菱地所が東京・丸の内周辺に持つ新丸ビルなど9つの大型ビルは、直下型地震が起きても揺れが到達する前にエレベーターが最寄り階に緊急停止する。2018年1月6日、千葉県北西部で起きた最大震度4の地震でも、揺れ始める9秒前に停止信号を受信した。

 ベンチャー企業のミエルカ防災(東京・千代田、松尾勇二社長)が開発した地震動速報サービス「ユレーマス」を導入した。この技術は気象庁の緊急地震速報の「民間版」。気象業務法上の「予報」は出せないが、観測データを提供する。

 地震の揺れには速く伝わるP波と揺れの本体であるS波の2種類がある。気象庁の速報は全国千カ所以上の地震計でP波を検知。震源の位置や地震の規模を計算し、誰でも使える汎用情報として速報を出す。

 今年3月からは震源を特定しない計算法も採用したが、最低でも10秒程度かかるとされ、直下型地震では間に合わない場合も多い。

 一方、ユレーマスは特定の利用者向けのため計算が速い。関東周辺では栃木県佐野市や静岡県御殿場市など約10カ所に独自の地震計を設置。震源に最も近い地震計がP波をとらえると、即座に観測データを送る。

 「エレベーターの停止のほか、生産ラインの安全確保でも注目されている」(松尾社長)

 一例がソニーの半導体子会社ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)だ。2年前の熊本地震で大きな被害を受けたのを教訓にミエルカの技術を導入。地震発生から2秒で生産ラインを停止させ、被害を最小限に抑える対策づくりを進める。

 ビッグデータを活用した防災技術の開発も急ピッチだ。NTTドコモなど携帯大手3社は携帯電話の位置情報から避難者の居場所を調べる技術を来年度にも実用化する。車中泊をしている人に注意を呼び掛けたり、避難所の運営改善に役立てたりする考えだ。

 SNS(交流サイト)を飛び交う情報から有用な情報を抜き出し、帰宅困難者の誘導に役立てる研究も進む。

 東京都豊島区は17年11月、IT系のアビームコンサルティングと組み、この技術を帰宅困難者向けの訓練に試験的に導入した。市民約200人のスマートフォン(スマホ)に専用アプリを入れ「火災が発生している」「道路が塞がっている」といった情報を発信してもらった。

 「被災地の状況をリアルタイムで集められるうえ、行政から安全な避難方法などを発信して双方向の利用も期待できる」(防災危機管理課)

 ITの本格的な活用にはなお課題も残る。ミエルカ防災の技術は「活断層の真上など震源が極めて近いと時間の猶予がなく、対応は難しい」(同社)。

 SNSを活用した防災技術も「ニセ情報が大量に発信された場合に見分けられるかや、スマホを使えない高齢者らにどう普及させるかが課題になる」(慶応大の山口真吾准教授)と指摘する専門家が多い。