最強生物『クマムシ』

 慶応義塾大学先端生命科学研究所の荒川和晴准教授らは「最強の生物」と呼ばれる微小生物クマムシが干からびても死なない仕組みの一端を明らかにした。乾燥に強い特有の遺伝子を複数見つけたほか、乾燥に強い種類はこうした遺伝子が常に活動していることも分かった。

脅威の生命力の謎に迫る成果で、米専門誌「プロス・バイオロジー」(電子版)に28日付で掲載。

 東京大学の国枝武和助教や英エディンバラ大学のマーク・ブラクスター教授らとの成果。クマムシは1ミリメートルに満たない小動物で、こけなど身近な場所にすんでいる。

 高温や凍結、乾燥、強い放射線など過酷な環境に耐えることが知られており、乾燥すると縮まって「乾眠状態」になり、水をかけると復活する。

 研究グループは乾燥に強いヨコヅナクマムシと弱い種類のゲノム(全遺伝情報)を解読して比べた。乾燥から細胞を守る多数の遺伝子のほか、乾眠状態を引き起こす遺伝子などが見つかった。酸化などのストレスによって細胞が自殺する「アポトーシス(細胞死)」と呼ぶ現象を引き起こす遺伝子が全くなく、仮死状態から蘇生できるのではないかとみている。