震度7 連鎖の衝撃5

『熊本地震は東日本大震災後に人々が抱いた不安を呼び覚ました。』

 最初の震度7から一夜あけた4月15日朝、原子力規制庁の幹部に官邸から一本の電話が入った。幹部は電子力規制委員らへの連絡に走った。 同日午前、官邸での会見で官義偉(67)官房長官は「九州の原発について情報が不十分。規制委には迅速に発信してもらう」と語った。

 当初、規制庁は「原子力発電所がある市町村の震度が5弱以上で状況を公表」との基準にこだわった。全国で唯一稼働中の九州電力川内市原発がある鹿児島県薩摩川内市の最大震度は4。

「情報発信」は不要だった。

 だが原発への注目度は方針転換を余儀なくされる。規制庁は18日午前、臨時に会合を開き、【地震がゼロでも九州、中国、四国地方の4原発は1日2回状況を伝える】と発表。

規制庁の田中俊一(71)委員長は『素直に反省しなければならない』と陳謝した。