震度7 連鎖の衝撃3

『防災拠点になるはずが』 2015年には国から南海トラフ地震発生時の現地対策本部候補となる

 「防災対策はもっぱら南海トラフ地震への備えだった」。余震が収まらない熊本県庁の災害対策本部で4月下旬、熊本県危機管理防災課長の沼川敦彦(52)は苦渋の表情で振り返った。

 実際、地元の人にとって記憶に残る大きな地震はない。熊本県益城町の自宅が全壊した兼業農家、河本貢(66)は「断層があるとは聞いていたが、地震が少ない地域だったはずなのに」と肩を落とす。 熊本市長の大西 一史(48)市長は記者会見で繰り返し発言しているその想定外の出来事は何かと問われたが、市の防災計画では震度7の大地震が襲った場合の最大避難者は5万5千人。実際には最大11万人が避難し、指定避難所に入りきれない人が続出した。

 南海トラフの発生確率は今後30年で最大70%、これに対して熊本で確率が高い日奈久断層帯による直下型地震の確立は同16%であった。

 「想定外を想定し、先手先手で復旧・復興に当たらなければならない」