マンション修繕、割高工事ご用心 コンサル、過剰仕様で発注

 うまい話には裏がある‼

 残念‼

 建築業界 フェアトレードでありますように と願います。

                       日本経済新聞 2018/5/31付

 マンションの大規模修繕工事を巡り、管理組合が割高な工事契約を結ばされたとする報告が国土交通省に寄せられている。管理組合と施工会社を仲介するコンサルタント業者が工事費を不当につり上げるケースがあるという。同省は5月、大規模修繕工事の工事費に関する調査結果を公表。契約内容を慎重に精査するよう呼びかけている。

 

 リベート・談合で高額に


「異常に高いのではないですか」。5月中旬、NPO法人「日本住宅管理組合協議会」(東京・千代田)を2人の男性が訪れた。2人は関東地方にある約60戸のマンション管理組合の役員。手には大規模修繕工事の見積書が握られていた。

 管理組合は2015年に設計コンサル会社に大規模修繕の調査を依頼した。示された工事費の目安は約1億3千万円。同社を通じて届いた施工業者3社の見積もりも1億円を超えていた。

 想定を大幅に上回る高値。3年間にわたって契約するか悩んだ役員の男性は日本住宅管理組合協議会の助言を求めた。

 協議会の副理事長、柿沼英雄さん(72)は「マンション規模からみて、1億円以下が一般的でないか」と助言。2人は指摘を踏まえ、設計コンサル会社との契約を見送った。

 国土交通省は5月、建築事務所や設計コンサル会社を対象に行った大規模修繕工事の調査結果を公表した。回答のあった134社の944事例を分析した結果、大規模修繕の1回目は築13~16年前後で行われ、1戸当たりの平均工事費は100万円。2回目は築26~33年前後で同97万9千円だった。

 2人の男性が役員を務めるマンションの1戸当たり工事費は200万円を超え、平均を大きく上回った。柿沼さんは物件ごとに条件は異なると前置きした上で「(割高な契約を獲得することで)施工会社がコンサル会社に払うリベート代が上乗せされている可能性がある」と分析。「コンサル会社にリベートを払うよう求められた施工会社もある」と明かす。

 国交省も、2017年に公表した管理組合向けの通知で「格安のコンサル料で受託し、自社にバックマージンを支払う施工業者が受注できるよう工作。割高な工事費や過剰な工事項目の発注を誘導して、管理組合に損失が及ぶ事態が起きている」と指摘している。

 20年以上の経験を持つコンサル業の男性も「10年ごろから類似のケースが出てきた」と説明。男性が関わったあるマンションでは02年の大規模修繕の際の4社のコンサル料の見積価格が500万~600万円台半ばで並んだが、16年の大規模修繕では男性の会社以外の3社の見積もりが200万円台に落ちていた。

 男性は「コンサル料を引き下げて受注した分、割高な工事費の契約を結ばせようとした可能性がある」とみる。

 東洋大の秋山哲一教授(建築生産学)は「価格重視ですぐに契約するのでなく、設計コンサル業者を選ぶときは業者が直近で手掛けたマンションに評判を聞きに行くなどの工程が必要。施工業者も実績を見た上で、細かな内訳を出してもらい極端に安かったり高かったりしないか確認すべきだ」と指摘する。

 

  ▼大規模修繕工事 

 国土交通省のガイドラインによると、12年程度の周期で実施する。住民の修繕積立金を使い、建物の不具合を直し、資産価値を維持する。管理組合はまず、設計コンサルタント業者を選んで契約し、建物の調査を経て修繕箇所や仕様を決めて予算を立てる。その後、公募などで施工業者から実際の見積もりを得て契約、工事を始めるのが一般的。コンサル業者は施工業者の選定や工事管理にも携わることが多い。