「ローン特約」が無効に? こんな不動産業者は要注意

 住宅購入は、『欲しい』という気持ちが高ぶり過ぎると要注意ですね‼

冷静な判断も併せ持ちたいものですね‼

契約 イメージ
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住まいを購入する際、たいていの人は銀行などの住宅ローンでお金を借りて購入します。住宅ローンの申し込みは、不動産の売買契約を締結した後に行うのが普通ですが、万一ローンの審査が通らなかった場合、売買契約を白紙にできる「ローン特約」があります。しかし、契約書の書き方次第ではこの特約が適用されず、思わぬトラブルに巻き込まれることがあるので注意が必要です。

 

■買い主を「万一」から守る特約

 不動産の売買契約を結んだ以上、買い主は契約で定められた期日までに売買代金の全額を支払う義務を負うことになります。期日までに支払えない場合、買い主側の契約違反となり、違約金や損害賠償金を売り主から請求されることになります。

 こうした事態を避けるため、万一住宅ローンの審査が通らなかったときのための特約を付けておくのが一般的です。不動産売買の契約書には融資を申し込む金融機関名、借入額、融資の承認を取得する期日が明記され、その期日までに借入額の全額または一部が借りられない場合は無償で契約を白紙にできるよう規定しています。

 この特約を「ローン特約」「融資特約」などと呼びます。まさに「万一」から買い主を守る特約です。

 

■金融機関名や借入額はしっかり記載を

 ところが、融資を申し込む金融機関名が契約書に書かれていなかったり、単に「金融機関」としか記載されていなかったりするケースが散見されるのです。気に入った住まいが見つかると購入を申し込みますが、その後1週間もしないうちに売買契約を結ぶことが多いため、融資を申し込む金融機関を決められないのも理由の一つのようです。しかし、これは実はとても危険なことなのです。

 金融機関名が書かれていない、あるいは単に「金融機関」としか記載されていないということは、例えば買い主が希望する住宅ローンの審査が通らなかったとしても、「別の金融機関で審査が通るのであれば売買契約をしなければならない」と解釈することができるからです。

 「金融機関」ですから銀行でなくてもよいと読めますし、通常より高い金利水準でも審査が通ってしまえば売買契約を無償で白紙にはできない、ということになりかねないわけです。どうしても契約を解除したければ、違約金や損害賠償金を支払わなければならなくなるかもしれません。

 借入額の記載がない場合はどうでしょう? 思った金額に満たない額しか借りられなくても「何をもって売買契約を白紙にできるか」が明確になっていないわけですから、こちらも無償で契約解除できるとは限らなくなります。

■あえて明記しない不動産業者も

 しかし、なぜこのようなケースが散見されるのでしょうか。もちろん、購入の申し込みから売買契約までの期間が短いため借入先を決めきれないという事情もあるかもしれませんが、「せっかく契約までこぎ着けても住宅ローンが借りられないことで契約を白紙にされたくない」という意識が不動産業者に働く面も否めません。

 不動産業者の中には多少金利が高くても貸してくれる金融機関をあらかじめ準備しておき、万一買い主が希望する金融機関で借りられなくても、解約できないように手はずを整えているところが全くないわけではありません。

 具体的な手口としては、買い主が希望する金融機関以外に「念のため」と別の金融機関にも同時に借り入れを申し込ませ、結果として希望する金融機関から借りられなかったとしても、金利の高い金融機関の審査が通っていれば「金融機関のローン審査は通った」としてローン特約は適用されない状況にするのです。

 「〇〇銀行等」という書き方をすることもありますが、これも「等」と書かれていることから余計な疑義を生じる可能性もありますので、注意したほうがよいでしょう。

 

■「欲しい」気持ちも大事だが、冷静に

 仮に不動産業者が買い主の希望に応じた金利や返済方法から金融機関の選び方までアドバイスし、そのうえで万一借りられない場合、多少金利の高い金融機関から借りてでも購入したいかどうか確認し、買い主もそれを承知しているのなら問題はありません。

 とはいうものの、実際には買い主も「欲しい」という気持ちが高ぶってしまい、こうした細かな部分を見逃しがちな面もあります。熱い気持ちも大事ですが、冷静な判断も併せ持っていただければと思います。