街づくり、地権者協定 所有権移転後も有効 国交省方針 空き店舗を介護施設に改修 空き地集め広場・駐車場

                2018/2/21付 情報元 日本経済新聞 夕刊

 

*比較的規模の大きい空き地・空き家が存在する地方都市の活性化に適した新制度ですね! しかし東京23区のような小規模の空地・小規模な戸建の活用の仕方については、住民の基本合意の形成に時間を要しますね! まずは、コミュニティカフェ、等の高齢者支援・がん患者支援、等の取組からのスタートが地域の活力と成るのでは。 国土交通省は増え続ける空き地や空き家を、地域ぐるみで活用する制度を設ける。地権者が協定を結び用途を決めると、相続などで所有権が移転しても使い続けられるのが特徴。その土地を広場や集会所として住民有志らが共同管理することを想定する。人口減少で街中に未利用地が増える「都市のスポンジ化」が進んでいる。土地を住民がシェアする形で有効活用し、地域再生につなげる。

地方都市を中心に街中でも利用されない土地や建物が増え、景観や治安が悪化する例が相次いでいる。まちづくり団体や住民がこれらを活用したい場合、地権者に協定で用途を決めてもらい、地権者に代わって整備・管理できるようにする。

 新制度は所有者が変わっても、にぎわいや地域の魅力向上につながるよう、協定で定めた用途を義務付ける「承継効」という規定を盛り込む。「地権者が変わっても引き続き利用できる」(国交省都市局)ため、空き地を集約して駐車場にしたり、商店街組合が空き店舗を保育・介護施設に改装したりといった活用を後押しできる。

 従来、私有地を地域のために使うには再開発や自治体が買い取る大がかりな仕組みが必要だった。土地を共同管理するこうした「コモンズ」(公共空間)を広げて、人口が減る地方都市のにぎわいや暮らしやすさを改善させる効果を期待する。

 また、市町村長が周辺の地権者に協力を働きかけるよう、協定を結んだ地権者が要請できる仕組みも取り入れる。ごく一部の周辺地権者が、用途に定めた利用に難色を示す場合などに調整役を果たしてもらう。

 自治体にとっては公費を使わずに民間の未利用地活用につなげることができる。市町村が指定した住民団体などが整備・管理する場合は固定資産税の軽減措置を得られ、地権者にもメリットがある。

 新制度「立地誘導促進施設協定制度」は今国会に提出された都市再生特別措置法などの改正案に盛り込まれた。2018年度の導入を目指している。まちを集約するコンパクトシティー政策を進めるため、自治体が定めた都市機能や居住を誘導する区域が対象となる。地権者の合意が課題となるが、19~23年度に全国で25件程度の導入を目指す。

 複数の地権者の合意による未利用地の活用では長野市の善光寺門前にある商業施設、ぱてぃお大門などの事例がある。従来も土地を集約して賃貸契約で活用できたが、収益性が低い場所では現在の地権者が無償で提供した土地が、相続によって別目的に使われる可能性があった。

 未利用地の活用を巡っては、政府は所有者不明土地を公益的な事業に用いる場合、所有者が不明のままでも利用権を設けて活用できる新法案を今国会に提出する方針だ。人口減少社会で利用されない土地が増える可能性が高まる中、売買や所有権の移転が無くても公益的な使い方に道を開く手法が広がりつつある。