農業で解決 日本の課題 農業支援へ新大網

 TPP・日欧EPA対策大網のポイント

★農業支援

・コメの輸入増分を備蓄米として買い上げて価格下支え

・畜産業の赤字補塡率9割に上げ

・チーズのブランド化を支援

・国産木材の加工施設を整備

★中小企業支援

・外国企業とのマッチングを後押し

 政府 TPP・日欧EPA受け

 首相「万全の対策」

政府は24日、環太平洋経済連携協定(TPP)と、日本・欧州連合(EU)経済連携協定(EPA)に関する国内対策の新たな大綱を決定した。農業の輸出といった「攻め」と、農家保護の「守り」の両方に目配りした。2017年度補正予算案などに反映するが、対策が早くて19年以降となる協定の発効に先行することで、バラマキ予算となる懸念が残る。

 安倍晋三首相は同日の総合対策本部で「TPPと日欧EPAはアベノミクスのエンジンとして我が国の成長をけん引する」と力説した。TPPは今月9日、米国を除く11カ国での発効で大筋合意。日欧EPAも7月に大枠合意した。これを受け、15年に定めた農業支援を中心とするTPP対策大綱を改定した。

 「攻め」の柱は農産品の輸出促進策だ。日欧EPAは、日本からの乳製品や豚肉、鶏肉、卵などの輸出関税を即時撤廃した。だがEUは日本産のこうした食品の輸入を認めていない。日本政府はEUに受け入れ解禁を働きかけ、農産品・食品の輸出総額を16年の7500億円から19年に1兆円に乗せることをめざす。

 「守り」の柱の1つは日欧EPAで流入が増えるチーズだ。新しい生産設備の導入支援や技術研修などを支援し、コスト削減やブランド力の強化を進める。木材は加工設備の導入や林道の整備を支援し、国産材の消費拡大をはかる。

 牛肉・豚肉農家への赤字補填率は現在の8割から9割に引き上げる。関連法案を来年の国会に提出する方針。TPPで輸入枠を設定したコメは、政府が輸入分と同量の国産米を備蓄米として買い入れる。安い欧州産パスタの輸入が増えることに備え、政府は輸入小麦を製粉会社に卸す価格を引き下げ、国内産のパスタの競争力を下支えする。

 こうした対策の多くは、年末にまとめる17年度補正予算案に盛り込む。財務省は農業大国の米国がTPPから離脱したため予算の絞り込みを主張しているが、自民党の農林族は日欧EPAの合意が追加されたため積み増しを求めている。3000億円台を巡る攻防になりそうだ。

 すでにTPP対策は15年にまとめた対策大綱に基づき15年度補正予算で3122億円、16年度補正で3453億円を計上し執行段階に入っている。各国の国内手続きが順調に進むかどうかも見通せない。TPP・日欧EPA対策と銘打った対策が先行することで、農業予算の膨張につながる可能性がある。

🌌「日本は農業で救われる」とは!?

 農業が 秘める 知られざる潜在力。

 『少子化問題』、『教育問題』、『孤独社会』、『消費低迷』、『新産業育成』、等を農業で解決!

 「閉ざされた産業」だった農業の改革が急ピッチで進んでいます